推理小説家、江戸川乱歩の作品を原作とした映画

映画「K-20 怪人二十面相・伝」

江戸川乱歩の作品が原作となっている映画まとめ

「怪人二十面相」というキャラクターは、あの推理小説家・江戸川乱歩が生み出した人物だということをご存知でしたか?

小説で登場する二十面相は変装の天才です。そんな怪人二十面相に、警察の捜査は翻弄されてしまいます。そんな彼と渡り合っているのが、既に江戸川乱歩の別の小説シリーズでおなじみだった名探偵・明智小五郎とその助手・小林少年でした。
その後、怪人二十面相は“少年探偵団”シリーズでお馴染みの人物となります。

大正から昭和にかけて活躍した作家・江戸川乱歩は、とても多くの作品を世に生み出しています
その作風は、子供向けの娯楽作品から、愛欲に満ちたもの、目をそむけたくなるような人間の嫌な部分をテーマに描いたものまで実に多彩です。

その多くの作品をもとに映像作品も沢山生み出されました。世界的に活躍している俳優の初々しい姿を収めた作品もありますよ。なんとフランス映画もあるんです。今回は、そんな江戸川乱歩の作品を原案とした映画作品を集めました。

BD 〜明智探偵事務所〜

江戸川乱歩の代表作といえる「少年探偵団」シリーズがモチーフの作品です。
日本のどこかを舞台にし、怪盗二十面相と名探偵・明智小五郎が激しく攻防している…といった少しファンタジックな世界観です。


二十面相を追うため、明智が長く不在にしている探偵事務所では、助手の小林芳雄と友人の井上一郎、事務所に入り浸っている花咲マユミという3人が留守番をしていました。
ある日、行方不明の娘の捜索を依頼するために女性が訪れて…。


キャストはアイドルグループやモデルを多く起用し、小林芳雄役は小澤廉(B2takes!)、井上一郎役は寺坂頼我(祭nine.)、花咲マユミ役は前田希美が演じ、華やかな顔ぶれですです。

失恋殺人

短編である「妻に失恋した男」をモチーフに、原作には登場してない明智小五郎の妻・文代を探偵役として描いたサスペンスです。


ある夫妻のかかりつけの歯医者が、夫婦それぞれの悩みを聞いたのちに明智小五郎の探偵事務所に調査を依頼します。
明智の妻である文代がその調査を始めるものの、事件は誰も想像しなかったほうへ転がり始めていき…。


星野真里が天真爛漫で美しい明智文代を演じ、二人の男性の間で揺れる妖艶な妻を宮地真緒が演じています。

D坂の殺人事件(1998)

明智探偵が初登場した短編「D坂の殺人事件」と「心理試験」のふたつの話を基に描かれている作品です。
贋作製作を裏の生業にする蕗屋清一郎に、雁作を依頼した女が被害者となった殺人事件に、名探偵・明智小五郎が挑むエロティックミステリー。


人間の内面を独特な演出で描き出しています。
実相寺昭雄監督がメガホンを取り、蕗屋清一郎役は国内外問わず活躍している真田広之、明智小五郎役は嶋田久作がミステリアスに演じています。

陰獣

中編小説「陰獣」を元に、スタッフも監督もフランス人で制作されたフランス映画です。


フランス人小説家アレックスは、日本の作家・大江春泥の大ファンです。
新作のキャンペーンで日本へ行くことになったアレックスは、大江に会えることを淡く期待します。
しかし大江は極端な人間嫌いで通っていて、顔を見たことがある人は誰もいません


そんなおり、フランス語ができる芸妓に出会いますが、彼女に「大江春泥に脅迫されている」と相談されます。
主演を「ピアニスト」「フレンチ・コネクション 史上最強の麻薬戦争」のブノワ・マジメル、ヒロインはパリ在住のモデルである源利華が演じています。

屋根裏の散歩者(2006年)

傑作短編「屋根裏の散歩者」を、猟奇的で耽美的な世界観はそのままに、舞台を現代にし、主人公を女性に置き換えて大胆なアレンジと解釈を加えた作品です。

編集者である富岡奈緒子は、今は亡き画家の郷田三郎を取材するため、郷田が生前に暮らしていた山奥の洋館に滞在する。


かつて郷田が好きだったという屋根裏に上った彼女は、洋館の住人たちが繰り広げる惨劇を目撃してしまい、巻き込まれていきます。
主人公を「出逢いが足りない私たち」の嘉門洋子、住人たちは窪塚俊介、木下ほうか、でんでん、清水萌々子などが演じています。

双生児

原作は短編「双生児〜ある死刑囚が教誨師にうちあけた話〜」です。
富豪であり医者、そして美しい妻を持つ男と、貧民窟でみじめな思いをしながら生きる男、彼らは同じ顔を持ちながら、まったく違う境遇で育ちました。

その兄弟の奇妙なサスペンスです。監督は『野火』の塚本晋也で、脚色・撮影監督・編集も務めています。
『おくりびと』の本木雅弘が双子の兄弟を一人二役を演じており、女優のりょうはこちらの作品が映画出演初作品となります

乱歩地獄

江戸川乱歩の4つの短編・中編小説をそれぞれ監督やスタッフが制作したオムニバス映画です。

  1. 「火星の運河」悪夢のような無音の世界を、裸で荒野を歩く男はやがて黒く丸い池にたどりつくと…。
  2. 「鏡地獄」顔面が溶解している不審な殺人事件、そ現場に残された和鏡の謎を追う明智小五郎の物語。
  3. 「芋虫」手足がない胴体だけの夫を献身的に介護する妻を、一人の男がその夫婦の秘密を目撃してしまう。
  4. 「蟲」恋焦がれる女優を殺害した潔癖症の男の異常な愛情の物語。この4つの物語は、やがてひとつになり…。

出演は『私の男』『マイティ・ソー』シリーズなどでおなじみの浅野忠信をはじめ、松田龍平、成宮寛貴など実力派俳優が揃っています。
情緒的な文章を映像に落とし込むために、ほとんどの作品が小説とはまた違った設定やストーリー展開になっていて、男女が逆転していたり、主人公である語り部が変わっていたり、現代風にアレンジされていたりします。

小説のほうを先にみても、映画を先にみても新鮮に楽しめます。


ちなみに、江戸川乱歩は実際に探偵として、探偵事務所で働いていたこともあったそうですよ。
もしかしたら実際の事件をモデルに作品を書いていた、なんてこともあるかもしれませんね。

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